「マトモな生活」とは?

長いことパチンコ依存症状態でいると、ギャンブル三昧の毎日が自分にとって「普通の生活」なので、「マトモな生活をしろ」と言われても「いや、そりゃ自分の生活が一般的なマトモとは違うのは分かってるけど、で、どうすればいいの?」という風になって終わるのがオチです。


パチンコ依存症者のチョイスは何故か「極端」であることが多い

nijyuu

パチンコ依存症者に、「とりあえず毎晩お酒を飲むのはやめろ。せめて週に2回くらいにしろ。もしくは休肝日を作れ」ですとか、「毎日外食や弁当を買ってきたりするのはやめろ。せめて週の半分は自分でご飯を作れ」ですとか、「毎日とは言わないからせめて週に1回くらいは掃除しろ。でもお風呂は毎日入れ」ですとか、そういったことを言っても「いやいやいや無理だよ、無理!」と完全拒否します。もしくは「善処はする」と口先だけで言って、ちっともやらないというパターンのどちらかです。
以前、パチンコ依存症に悩む男性の相談に乗っていて、
「毎朝7時に起きて朝ごはんを食べ、お昼の12時になったら昼ご飯を食べ、夜7時になったら夕飯を食べ、9時までにお風呂に入り、夜は12時までに布団に入るなら1日中漫画を読むなりアニメを見るなりゲームをするなり好きにしていい生活で、ただしギャンブルは一切厳禁で、毎週土曜日は洗濯と掃除の日だがお酒を飲んでも良いという生活」
と、「自衛隊に入る」の選択肢しかないとしたらどっちが良いかと聞いた時に、その男性は10秒ほど悩んで「自衛隊」を選んだということがありました。
「いやいやいや、多少の制限はあるけど、ご飯は好きなもの食べられるし、漫画でもゲームでも好きにしていいし、ネットも自由に出来るし、何よりあんなキツい訓練受けなくていいんだよ?」と聞いてみると、「だって、今までそんな規則正しい生活できたことないもん。やってみたことはあるけど、1度だって成功しなかった。すぐ夜更かししちゃうし、きっと俺、基本は夜型人間なんだよ。だからもう変えるとしたら自衛隊に入るしかないかなって」と言われました。
「他人が強制的に命令して、監視して、隙あれば罰を下してくる」という環境じゃないと自分を変えられないと思っている思考回路の背景には、「誰かに何とかしてもらいたい」と思っている甘えももちろん多少はあります。しかしそんな他力本願な考え方は多くても4割程度です。(⇒パチンコ依存症の治し方:自己嫌悪と現実逃避


病原菌は自己評価の異常な低さ

douzou

残りの6割は自己評価の低さが病原菌となって増殖していくのパターンが多くみられます。「どうせ自分には出来ない」という異常なまでの自信のなさ、「なんで出来なかったんだ」という自己嫌悪の気持ちは、知らず知らずのうちにあなたの脳内を病原菌でいっぱいにしてしまいます。
パチンコ依存症に苦しむ人たちは、どちらかというと「パチンコがやめられない」こと自体よりもこの「病原菌」に苦しんでいることの方が多いのではないかと思います。まさに私も「どうせ私は何も出来ない。もう落ちるところまで落ちるしかない」と変な諦めと思い込みに縛られていました。
もちろん今でも「自分には何か出来る」といったような自信があるわけではありません。ただ「落ちるところまで落ちるしかない」というほど酷くもないと、嘘でもいいから自分に言い聞かせているだけです。「あなたは素晴らしい人だ」と心の中で唱えてみてください。何度も何度も。自分がそうだと思うまで言い聞かせるのです。
人間の脳は意外とバカです。「自分は何もできない」と思うと脳がそれに影響されて少しずつできないことが出てきます。「少しくらいならやれそうだ」と思うと、不思議なことにできるようになるのです。脳は非常に騙されやすいものです。少しずつでいいんです。少しできそうだなと思うことが大事なんです。

いますぐ実践!パチンコ依存症の自分を受け入れる、簡単な方法とは

パチンコ依存症克服のヒント:執着心との付き合いかた


あなたが今「無理だ」と思っていることの大半は無理じゃない

kintore

例えば「パチンコ依存症の俺なんかじゃ一生結婚なんか無理だ」
「私なんかじゃ正社員なんて無理だ」という大きなものから、「俺が自分で飯を作るなんて無理だ」「この私が毎週1回掃除するなんて無理難題過ぎる」という小さなものまで、あなたの中には大小様々な「無理」が溢れていませんか?
もちろんその中で一番大きな「無理」は「パチンコから足を洗うなんて無理だ」だと思いますが、それ以外でもきっと色々と「無理」があると思います。
何故無理なのかと言えば答えは簡単です。あなたの中の「出来る」は「100点満点」の状態のみだからです。
「だって周りはその100点満点を取ってるわけだし…」と思っていませんか?隣の芝生は青く見えると言います通り、今はそう見えているだけで実際は60点、70点だったりするわけです。
100点満点を取っている人なんてそうそういません。皆少しずつ頑張って、時には10点や20点台になったりもして、それでも頑張って何とか平均点以上を保つようにしているだけです。
パチンコ依存症の状態からいきなり100点満点を取れと言われても、そりゃ無理難題な話です。誰もそんなことは言っていません。
ただ1点でも高くなるように毎日少しずつやってみなさいということを望んでいるのです。
つまり、「マトモな生活」とは100点満点の生活ということではなく、1年通しての平均点が60点ぐらいになるように、ちょっとずつやっていく生活のことです。


次のページへ:もう借金しないために